#アリアコンセプト に見る日産EVの新基準|PR
日産自動車株式会社さんのイベントにご招待いただき、2019年東京モーターショーで披露された、『アリアコンセプト』の取材をしました。
「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」という、ひとつのテーマを掲げて作られた、これからの日産のEVの基準となる アリアコンセプト。
夜明けをイメージしたロゴと共に、新しい時代の幕開けを予感させるようでありながら、これまで培ってきた日産の歴史や技術を集約した車でもありました。
アリア:タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム
「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」というのは、「粋(いき)」というアイデアによって表されていました。この「粋」とは「日常にもたらされる、最先端で簡明な新しさ」のこと、そしてさらにこの「粋」のイメージは4つの具体的なイメージによって構成されています。
「傾く(かぶく)」…あえて取り入れる大胆かつ多様性のある表現
「間(ま)」…構造に熟達した卓越した空間の使い方
「整(せい)」…間を演出する巧みな手法で調和された構造と細部
「移ろい」…自然によって生み出された流動性と非対称性が生み出す美しさ
電気自動車が重視する重量と空力をとことん突き詰めた設計。複雑な機構のフロントグリルを廃した、スッキリとしたフェイスには、細いウインカーと、LEDによって再現されたVモーショングリルが。
そして、グリルから続くサイドには、前方から後方へ向かって風が流れていくイメージが目に浮かぶような陰影の、なだらかなボディラインになっています。テールランプも左右一体化しており、「シームレス」なデザインが徹底されていることがわかります。
シームレスなシンプルさは、侘び寂びの日本的な美意識にも通じます。
組子をモダンにリデザインしたエクステリアにも、日本らしさが。草双紙の青本を彷彿とさせるようなグレイッシュなブルーカラーも、たしかに粋です。でも、同時に日産は、「意気(いき)」でもあると、思うのです。これは、意気地や心意気の「意気」の意味で、粋という言葉と並んで、とても日産らしい言葉だと思っています。
歴史とともにある日産の粋(スイ)を凝らした車
隅々までこだわり抜かれたエクステリア・デザインや、日産の技術力が集約され、これからのEVのモデルになるというアリアコンセプトには、日産の「粋(いき=すい)」が詰まっています。
彗星ブルーと名付けられた、一見グレイッシュなブルー。ぱっと見では、マットでとてもシックな雰囲気ですが、近づいてみるとキラキラと大きめの粒子が輝くメタリックカラー。このメタリック素材のおかげで、凹凸の陰影が美しく出るようになっているそう。
エクステリアにも、差し色として使われているカッパー。青の補色(反対色)は黄色なのですが、彗星ブルーの補色でもあり、電気とも相性がいい素材であることから採用された色とのことです。そしてこのカッパーが、なんと、シート素材の中にも使われています。
写真で表現できませんでしたが、シートの表面に開けられた通気孔から、チカチカとカッパーが光って見えて、明け方の星の瞬きのよう。驚きました。これは、御料車であったプリンスのシートが、カッパーで編まれていたということも念頭に置いたデザインだそう。ひとつひとつのディテールに、意味も歴史も詰まっているのです。
またドアの内側にも注目。「行灯ライト」と呼ばれる組子をリデザインした抜かれた樹脂の奥には、LEDライトとスピーカーが埋め込まれているそう。
型抜きの向きが斜め下を向いているため、自分の側のドアは明るく見えないように工夫されているのですが、反対側のドアがとても明るく光っているのがわかります。
波打つような面、そして組子の細かな型抜きは、塗装処理はしていても、研磨などはおこなっていないそう。
バリひとつ見当たらない、かっちりと美しい組子模様になっているこの樹脂の処理自体に(ミニ四駆に本気で取り組んでいて、せっせと樹脂を削っていた自分としては)、圧倒的な技術力を感じました。
運転者の肩が当たる部分や、肘掛け部分には柔らかな素材を使い、乗り心地も追求。
そして、床。水面のような、石庭の砂紋を彷彿とさせる凹凸があるのがわかるでしょうか。行灯ライトに砂紋の床。「日本らしさ」を日産がリデザインするとこうなるのだな、という空間が、アリアのなかに広がっていました。粋です。
ちなみに、組子デザインはあらゆる場所に使われていて、行灯ライトだけでなく、ガラスの縁やスピーカー、そしてタイヤ、ライト……。パット見では見過ごしてしまうような部分まで、とことんまでこだわり抜く、絶対に手を抜かないという意気を感じずにはいられませんでした。このこだわりに関しては、もう意気を通り越して、「意地」と言い換えてもいいかもしれません。
車体自体は、とても大きく見えますがセダンやステーションワゴンのような「Cセグメント」と呼ばれるサイズとのこと。大型車ではないそうです。タイヤもかなり大きく感じたのですが、21インチとのこと。実家にあった車が21インチを履いていたので、見慣れているはずの大きさだったのですが……。
デザインチームと開発チームによる1mm単位の意地(いき)
そして、ボディ・フォルムのダイナミックさや、アリアに「コンセプト」という言葉を付けておきながらも、量産予定車として製作・発表した大胆さには、日産の意気(地)を感じます。ドア内側の部分など、同業者がプレス処理を見れば、これが量産用のプレスだということがわかるのだそう。いわゆるショウ・カー、コンセプトだけの車ではなく、量産(予定)車であることを、自動車業界のひとには、実感としてわかる車に仕上がっているようです。
超極細と言っていいようなウインカーは、開発側とデザイン側で1mm単位で紛糾したと言うお話でした。デザイン側としては、もっと薄くしたい。けれど、開発側はなるべく大きくしたい。途方もないやりとりの結果、形になったのが量産を企図したアリアなのです。
ライトについて、こんなに薄くては、ハイビームにしてもあまり明るくならないのではないか? と思って訪ねてみたところ、なんと従来の車種よりも照射面積が広いというお答えが。技術的にも、これまで以上の性能を詰め込んだEVが、アリアなのだということがわかるエピソードでした。
他にも、空力に関わるテール部分、透明素材を用いてデザインの妥協をせずに作られたリヤピラー(リヤウインカーの部分)の処理なども、同様に1mm単位を巡ったやりとりが行われていたとのこと。熱いです。
日産の粋・意気が形になったアリア。発売日の発表が待ち遠しいですね。
★本記事は、日産自動車株式会社さんにお招きいただいたイベントを取材したものです。
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